結論から言うと、**1級土木施工管理技術検定の合格率は、令和7年度で第一次検定43.1%・第二次検定38.9%**です(試験実施機関・一般財団法人全国建設研修センターの公表値)。直近3年の推移を表にします。
| 年度 | 第一次検定 / 第二次検定 |
|---|---|
| 令和7年度 | 43.1%(合格20,547人) / 38.9%(合格9,603人) |
| 令和6年度 | 44.4%(合格22,705人) / 41.2%(合格11,224人) |
| 令和5年度 | 49.5%(合格16,311人) / 33.2%(合格9,060人) |
一次と二次を単純に掛け合わせると、最終的に「1級土木施工管理技士」に到達するのは受験者のおおむね2割弱という水準です。数字だけ見ると狭き門ですが、後述するとおり、落ちる人には共通のパターンがあり、対策の質を間違えなければ働きながらでも十分届きます。この記事では、公表値の推移の正しい読み方、難易度の実感、必要勉強時間の目安、落ちる人のパターンまでを整理します。数値はすべて2026年7月時点で確認した全国建設研修センターの公表値にもとづきます(令和7年度二次の合格発表は令和8年1月9日)。最新の数字と受験要件は必ず公式サイトで確認してください。
この記事でわかること:
- 1級土木の一次・二次の直近の合格率と推移(公表値・年次つき)
- 合格率の変動をどう読むか(難化なのか、受験者層の変化なのか)
- 必要勉強時間の目安と、落ちる人の3つのパターン
結論:1級土木施工管理技士の合格率は一次43.1%・二次38.9%
冒頭の表を、もう少し中身まで見ます。令和7年度の第一次検定は受検者47,715人に対し合格20,547人で43.1%。第二次検定は受検者24,667人に対し合格9,603人で38.9%でした。二次の合格基準は「得点が60%以上」と公表されています。
見落とされがちなのが、二次検定の受検者の内訳です。全国建設研修センターの令和7年度の発表資料によると、二次の受検者24,667人のうち、その年の一次に合格して進んだ人は7,176人、残りの17,491人は「二次のみ」の受検者、つまり前年までに一次を通過して二次に再挑戦している人などです。そして合格者9,603人のうち、当年一次からの合格者は3,368人、二次のみの受検者からは6,235人でした。二次は「一度で通る試験」というより、複数年かけて突破する人が相当数いる試験だということが公式の数字から読み取れます。一発合格を狙うのは当然として、二次で一度落ちても翌年以降に取り返せる設計になっている、と知っておくと計画の立て方が変わります。
なお、合格者の属性も公表されており、令和7年度二次の合格者は25〜29歳が24.3%と最多で、女性合格者は10.5%、合格者の51.1%は2級土木の合格経験者でした。若手が中心の試験である一方、40代以上の合格者も3割超を占めており、年齢で諦める理由はありません。
試験の枠組みと合格基準:何に受かれば1級土木施工管理技士か
数字の前提となる試験の枠組みを短く整理します。1級土木施工管理技術検定は、建設業法にもとづき国土交通大臣指定試験機関の全国建設研修センターが実施する国家検定で、第一次検定と第二次検定の2段階です。
- 第一次検定:マークシート方式。土木工学・施工管理法・法規などの知識と能力を問う。合格すると「1級土木施工管理技士補」を称することができ、監理技術者補佐として現場に配置できる制度上の価値がある
- 第二次検定:記述式。自分の現場経験を書く経験記述と、施工管理の実務知識の記述問題。合格基準は得点60%以上。合格すると「1級土木施工管理技士」となり、監理技術者資格の中核ルートになる
一次だけでも技士補という形で資格的な効力があるのが現行制度の特徴で、「まず一次だけ先に取る」戦略が成立します。1級を持つと何ができるかの詳細は1級施工管理技士とはの記事、土木の種目全体の取り方は土木施工管理技士の取り方の記事で解説しています。
合格率の推移をどう読むか:一次は低下傾向・二次は年度差が大きい
「合格率が下がっている」という噂は半分正しく、半分は読み方の問題です。公表値ベースで見ると、一次検定の合格率は令和3年度60.6%、令和4年度54.6%、令和5年度49.5%、令和6年度44.4%、令和7年度43.1%と、はっきり低下傾向にあります。
ただし、この低下を「問題が難しくなった」とだけ読むのは正確ではありません。大きな変化として、令和6年度から受験資格が改正され、一次検定は学歴・実務経験を問わず19歳以上なら受験できるようになりました。実際、一次の受検者数は令和5年度の32,931人から令和6年度51,193人、令和7年度47,715人へと大幅に増えています。受験の門戸が広がって準備度の浅い受検者層が加わると、問題の水準が同じでも合格率は下がります。つまり「率の低下=あなたにとっての難化」とは限りません。一方で、過去問の焼き直しだけでは対応しにくい応用的な出題が増えたという受験者の実感も広く語られており、対策の質を上げる必要があること自体は確かです。
二次検定は、令和4年度28.7%、令和5年度33.2%、令和6年度41.2%、令和7年度38.9%と、年度による振れ幅が大きいのが特徴です。記述式で採点基準の影響を受けやすく、「今年は簡単な年か」を予想する意味はほぼありません。どの年に当たっても60%の得点を取れる答案力を作るのが唯一の対策です。
ちなみに、他種目と比べると水準感がつかめます。同じ1級でも建築施工管理(実施機関は建設業振興基金)の令和7年度は一次48.5%・二次39.0%で、おおむね近い水準です。サブ的に検索の多い2級建築施工管理の一次試験は、令和7年度で前期45.0%・後期36.3%と、こちらも「半分弱が受かる」レンジにあります(いずれも試験実施機関の公表値)。施工管理技士系はどの種目・級でも「無対策では落ち、正しく対策すれば十分届く」ゾーンの試験だと言えます。
難易度の実感:何が難しいのか
合格率だけでは伝わらない「何がきついのか」を、受験者がつまずく順に挙げます。
第一に、出題範囲の広さです。土工・コンクリート・基礎工から、法規、安全管理、環境対策まで、現場で普段触れない分野も出ます。自分の専門工種(道路・河川・トンネルなど)以外の知識を試験用に補う必要があり、ここで「実務経験があるから大丈夫」という見込みが崩れます。
第二に、勉強時間の確保です。受験者の大半は現場勤務で、繁忙期には勉強が完全に止まります。試験の難しさ以前に、継続の難しさで脱落する人が多いのが実態です。
第三に、二次の経験記述です。知識問題は勉強量に比例して伸びますが、経験記述は「自分の現場を、施工管理者の視点で、課題と対策と結果の構造で書く」訓練が別に必要です。文章を書き慣れていない人ほど、ここを直前まで後回しにして失点します。
逆に言えば、この3つ(範囲の広さ・時間確保・記述対策)に手当てをした人から順に受かっていく試験です。運や地頭の試験ではありません。