キャリタイプ建設
🌙 働き方

建設業で育児・介護と両立する|制度と働き方の実際

10分で読めます𝕏 シェア
📑 目次(タップで開く)
  1. 結論:制度はある。問題は「現場でどう使うか」
  2. 制度の全体像:育児・介護でそれぞれ何が使えるか
  3. 建設業・現場特有の難しさ:ここが本当の論点
  4. 制度を実際に使うための動き方
  5. 育児と介護は「時間軸」が違う
  6. 会社を見極める:両立できる職場かどうかの確認項目
  7. ケーススタディ:配属調整で復帰した大塚さん
  8. 困ったときの相談先
  9. まとめ:辞める前に、制度と会社を使い倒す

建設業で育児・介護と仕事を両立できるかどうかは、「制度があるか」だけでなく「現場中心の働き方で実際に使えるか」で決まります。結論を先に言うと、育児・介護休業などの制度は建設業にも当然に適用され、辞める以外の選択肢は法律上用意されています。ただし現場配属や転勤という業界特有の事情があるため、制度を知ったうえで会社に具体的に確認し、働き方を調整することが必要です。この記事では、制度の全体像を一般論として整理し、建設業ならではの難所と現実的な動き方を解説します。

この記事でわかること:

  • 育児・介護と両立するための制度の全体像(育児介護休業法の一般論)
  • 建設業・現場特有の両立の難しさと、その乗り越え方
  • 制度を実際に使うための動き方と、会社の見極め・相談先

なお、育児・介護休業法は業種を問わず適用される法律であり、この記事は一般的な制度の説明です。取得できるかどうかの具体的な条件や社内の手続き、手当の有無や金額は会社ごとに就業規則等で定められています。自分のケースについては、必ず自社の就業規則と人事・担当窓口で確認してください。

結論:制度はある。問題は「現場でどう使うか」

まず押さえるべき事実は、育児・介護と両立するための制度が法律で整っているということです。全体像を先に示します。

場面 主な制度(一般論)
育児 育児休業、子の看護等休暇、所定労働時間の短縮(時短)、所定外労働・時間外労働・深夜業の制限、柔軟な働き方のための措置
介護 介護休業、介護休暇、所定外労働の制限、勤務時間の短縮等の措置
共通 これらの申し出・取得を理由とする不利益取り扱いの禁止

つまり「子どもが生まれる」「親の介護が始まる」からといって、辞める以外の道がないわけではありません。制度上は、休業・休暇・時短・残業制限といった選択肢が用意されています。問題は、これらの制度を現場中心の建設業でどう運用に落とすかです。以下、制度の中身、建設業特有の難しさ、実際の動き方の順で見ていきます。

制度の全体像:育児・介護でそれぞれ何が使えるか

育児と介護、それぞれで使える制度の骨格を整理します。あくまで法律上の一般論であり、具体的な適用は自社の規定によります。

育児に関する制度

  • 育児休業:原則として子が1歳になるまで(一定の場合は延長あり)取得できる休業。父母がともに取得する仕組みもあります
  • 子の看護等休暇:子の看護や予防接種などのために取得できる休暇。2025年4月からの改正で対象範囲が見直されました
  • 所定労働時間の短縮(時短):一定の要件を満たす場合、勤務時間を短くする措置を申し出られます
  • 所定外労働・時間外労働・深夜業の制限:育児中の労働者が、残業や深夜の勤務の制限を申し出られる仕組みがあります
  • 柔軟な働き方のための措置:2025年4月からの改正で、事業主が複数の選択肢から措置を講じることなどが盛り込まれました

介護に関する制度

  • 介護休業:対象家族の介護のために取得できる休業。対象家族1人につき通算して取得できる仕組みです
  • 介護休暇:通院の付き添いなど、介護のために取得できる休暇
  • 所定外労働の制限・勤務時間短縮等の措置:介護と両立するための働き方の調整ができます

介護については、2025年4月からの改正で、介護に直面する前の早期の段階(例えば一定の年齢に達した時期など)に、会社から制度の情報提供が行われる仕組みなども整えられました。介護離職を未然に防ぐ狙いです。制度は改正が続くため、最新の正確な内容は厚生労働省の育児・介護休業法の公式ページで確認してください。

建設業・現場特有の難しさ:ここが本当の論点

制度がある一方で、建設業には両立を難しくする固有の事情があります。ここを正直に書きます。

  1. 現場配属という働き方:施工管理は現場に配属され、その現場の稼働に生活が左右されます。時短や残業制限を申し出ても、現場が動く以上、運用には工夫が必要です
  2. 転勤・遠方の現場:現場は場所を選べず、遠方や泊まり込みの配属もあります。育児・介護の状況では、この転勤が最大の壁になりがちです
  3. 繁忙の波:検査前や引き渡し前など、業務が集中する時期があり、休暇や早帰りのタイミングが読みにくいことがあります
  4. 属人化しやすい業務:現場を任されていると「自分が抜けると回らない」状態になりやすく、休みを取りづらい空気につながることがあります

これらは制度の有無の問題ではなく、運用の問題です。だからこそ、制度を知っているだけでは足りず、自分の現場・自分の会社で具体的にどう使えるかを、早めに会社と詰めることが重要になります。次の章で、その動き方を示します。

補足すると、これらの難所は「建設業だから両立できない」という結論には直結しません。担い手不足を背景に、経験者に辞められることは会社にとって大きな損失であり、両立を支援して残ってもらう動機は以前より強まっています。国や業界も、仕事と育児・介護の両立支援を建設業の重要な課題として位置づけ、対策の充実を進めています。つまり業界の追い風はあり、あとは目の前の会社でどう運用に落とすかという実務の問題だ、という捉え方が現実に即しています。

制度を実際に使うための動き方

制度を絵に描いた餅にしないための、現実的な進め方です。

  • 早めに、具体的に相談する:妊娠・出産や介護の予定が見えた段階で、上司と人事に早めに相談します。「いつから」「どの制度を」「どのくらい」を具体的に伝えると、会社側も配属や引き継ぎを調整しやすくなります
  • 配属の調整を選択肢に入れる:現場配属のままでは時短が難しい場合、内勤(工事管理・積算・安全管理など)への一時的な配置転換や、自宅から通える現場への配属で対応できることがあります。「休むか辞めるか」の二択で考えず、配属の調整も交渉材料にします
  • 引き継ぎを設計する:属人化を避けるため、休業・休暇の前に業務の引き継ぎを設計しておくと、取得のハードルが下がります。これは会社のためだけでなく、自分が安心して休むための準備でもあります
  • 就業規則を自分で確認する:法律の一般論だけでなく、自社の就業規則で具体的な取得条件・手続き・期限を確認します。分からなければ人事に聞きます

大事なのは、制度を「使わせてもらう」という受け身ではなく、「どう使うかを一緒に設計する」という姿勢で臨むことです。会社にとっても、経験者に辞められるより両立して残ってもらうほうが合理的です。担い手不足の建設業では、この交渉は思うより通りやすい場面があります。

💬未経験OKの施工管理求人を相談する無料相談 →

育児と介護は「時間軸」が違う

育児と介護はまとめて語られがちですが、両立の設計では性質が違います。ここを分けて考えると、備え方が見えてきます。

観点 育児 介護
始まり方 出産予定など、ある程度前もって分かる 突然始まることが多く、予測しにくい
期間の見通し 子の成長とともに負担が変化していく 期間が読みにくく、長期化することもある
主に効く備え 出産前からの計画的な相談・配属調整 直面する前の情報収集と、いざというときの初動

育児は、妊娠・出産の予定が見えた段階で計画的に相談を進められます。一方で介護は、親の入院や体調の急変をきっかけに突然始まることが多く、慌てて離職してしまう「介護離職」が問題になっています。だからこそ介護では、直面する前の段階で使える制度を知っておき、いざというときにまず介護休業などで態勢を整える時間を確保することが重要です。2025年4月からの改正で、介護に直面する前の情報提供が仕組みとして整えられたのも、この初動の遅れを防ぐ狙いです。「介護はまだ先」と考えている段階で制度を把握しておくことが、突然の事態での離職を防ぎます。

会社を見極める:両立できる職場かどうかの確認項目

これから会社を選ぶ人、あるいは今の会社で両立できるか見極めたい人のために、確認すべき点を挙げます。制度の「有無」ではなく「実績」を聞くのがコツです。

  • 育児休業・介護休業の取得実績があるか(制度があるだけでなく、実際に使った人がいるか)
  • 現場職でも時短や配置調整を使った例があるか
  • 転勤の頻度と、勤務地を限定する制度の有無
  • 育児・介護中の社員への配属の配慮の実績
  • 復帰後にどんな働き方・役割で戻った例があるか
  • 相談窓口(人事・担当者)が明確にあるか

「制度はあります」という回答だけでは判断できません。制度が形だけで実際には使いにくい職場は存在します。「実際に使った人がいるか」「その人はどんな働き方で復帰したか」という実績を具体的に聞くことで、運用の実態が見えます。答えを濁す会社より、事例を具体的に語れる会社のほうが、両立できる可能性が高いと判断できます。

ケーススタディ:配属調整で復帰した大塚さん

大塚さん(35歳)は建築の施工管理で、第一子の出産・育児にあたって働き方を調整しました。当初は「現場職で育児と両立できるのか、辞めるしかないのか」と悩んでいたと言います。

転機は、妊娠が分かった段階で早めに上司と人事に相談したことでした。就業規則を確認したうえで、育児休業の取得と、復帰後しばらくは自宅から通える現場への配属、そして時短勤務を組み合わせる形を会社と詰めていきました。復帰直後は現場のフルタイム統括ではなく、内勤の工事管理を中心に担い、生活リズムが整った段階で現場の割合を戻していったそうです。「制度を知っていたことより、早めに具体的に相談して、配属という交渉材料を持てたことが大きかった」というのが本人の言葉です。

大塚さんは、同じ立場の人に「辞める前に、必ず会社に具体的な選択肢を投げてほしい」と伝えています。このケースが示すのは、両立できるかどうかは制度の有無だけでなく、早めの相談と配属の柔軟性という運用面で決まる、という点です。会社と働き方を一緒に設計できれば、現場職でも両立の道は開けます。

困ったときの相談先

会社に相談しても取り合ってもらえない、不利益な扱いを受けた、といった場合は、一人で抱え込まず公的な相談先を使ってください。

  • 都道府県労働局 雇用環境・均等部(室):育児・介護休業法に関する相談や、不利益取り扱いなどのトラブルの相談先です
  • 厚生労働省「育児・介護休業法」特設ページ:制度の最新の内容と、相談窓口の案内があります
  • 家庭と仕事の両立支援に関する各種ポータルサイト:自治体や公的機関が両立支援の情報をまとめています

育児・介護休業などの申し出や取得を理由に、解雇その他の不利益な取り扱いをすることは法律で禁止されています。「言い出したら評価が下がるのでは」という不安で相談をためらう必要はありません。それでも不当な扱いを受けたときのために、公的な相談先が用意されていることを覚えておいてください。

まとめ:辞める前に、制度と会社を使い倒す

建設業でも、育児・介護と両立するための制度は法律で整っています。休業・休暇・時短・残業制限といった選択肢があり、それらの取得を理由とした不利益な扱いは禁止されています。難しさは制度の有無ではなく、現場配属や転勤という運用面にあります。だからこそ、早めに具体的に相談し、配属の調整を交渉材料にし、就業規則を自分で確認することが、両立への現実的な道になります。

「現場職だから両立は無理」と結論を急ぐ前に、自社の就業規則と担当窓口で使える制度を確認し、必要なら公的な相談先を頼ってください。両立の土台になる労働時間や休日の実態がどう変わってきたかは働き方の変化を検証した記事で、働き方全体をどう設計するかは長く働くコツの記事で、待遇や制度の実態を求人で見極める方法は建設会社の福利厚生の見方の記事で解説しています。制度を知り、会社と設計し、公的な支援も使う。この3つを揃えれば、両立の選択肢は思うより広がります。

未経験OKの施工管理求人を相談する

あなたの希望条件に合う求人・情報を、キャリアの専門家が無料でご案内します。

無料で案内を受け取る →

よくある質問

Q. 建設業でも育児休業や介護休業は取れますか?

A. 取れます。育児・介護休業法は業種を問わず適用される法律で、建設業も対象です。一定の要件を満たす労働者は、育児休業・介護休業や子の看護等休暇・介護休暇などを申し出ることができます。ただし取得の具体的な条件や社内の手続きは会社ごとに定められているため、自社の就業規則と担当窓口で必ず確認してください。

Q. 現場勤務でも時短勤務や残業免除は使えますか?

A. 制度としては、一定の要件を満たせば所定労働時間の短縮(時短)や所定外労働の制限などを申し出ることができます。ただし現場配属では運用に工夫が要るため、内勤への一時的な配置転換や現場の選び方で対応する会社もあります。自分の状況で何が使えるかは、早めに上司や人事に相談して具体的に詰めるのが現実的です。

Q. 育児・介護を理由に不利益な扱いを受けないか心配です。

A. 育児・介護休業などの申し出や取得を理由に、解雇その他の不利益な取り扱いをすることは法律で禁止されています。もし不利益な扱いを受けた、または相談しても取り合ってもらえない場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)など公的な相談窓口に相談できます。一人で抱え込まず、公的な相談先を使ってください。

Q. 育児・介護休業法は最近変わったと聞きました。何が変わったのですか?

A. 2025年4月から段階的に改正が施行され、子の看護休暇の対象範囲の拡大や、柔軟な働き方を実現するための措置、介護に直面する前の情報提供の義務化などが盛り込まれました。制度は改正が続くため、最新の内容は厚生労働省の公式ページで確認するのが確実です。

Q. 転勤のある会社で両立できるか不安です。

A. 転勤は建設業の両立で大きな論点です。育児・介護の状況にある労働者の配置に配慮を求める規定もありますが、具体的な運用は会社によって異なります。転勤の頻度、勤務地を限定する制度の有無、育児・介護中の配慮の実績を、入社前や配属前に確認しておくことが、両立できる働き方を選ぶ近道です。

🏗️

この記事を書いた人

キャリタイプ建設編集部施工管理・建設キャリア専門メディア

国土交通省・厚生労働省の統計と、現場経験者への取材をもとに、誇張のない建設キャリア情報を発信しています。きつさも待遇も、実態をそのまま書くことを編集方針としています。

🏗️ あなたに合う建設キャリア、2分でわかります

建築・土木・設備の施工管理か、技能職か、内勤系か。12問の無料診断で向いているキャリアを判定します。

働き方の関連記事